事例05勤務先との任意の交渉によって、早期(受任から1か月程度)に未払残業代・勤務先の上司による暴力を理由として、総額300万円の解決金を回収した事例
- 担当弁護士赤木 公
- 事務所久留米事務所
ご相談内容
依頼主
Eさん(60代・男性) / 職業:IT・通信・ Webエンジニア
福岡県在住のEさんは、仕事上のミスを理由に、これに激昂した勤務先の社長から殴る・蹴るの暴行を加えられて右大腿回頭筋圧挫傷等の傷害を負った上、常軌を逸した残業(何日間もの宿泊を伴う)を強いられました。
Eさんの妻は、Eさんの異変(何日も自宅に帰ってこなかったり、体中に痣があったこと)に気付き、早急に弁護士に相談したほうがいいと考えて当事務所に来所されました。
弁護士の活動
当事務所は、Eさんに加えられた暴行や傷害の程度が重大であったことから、Eさんに所轄警察署に行って被害届を提出するようにアドバイスを行いました。
また、当事務所は、Eさんに早急に整形外科を受診して傷害についての診断書を受領し、併せて治療も行うように指導しました。
さらに、当事務所は、相手方に対し、勤務先の就業規則、Eさんの勤務先のパソコンのログインデータ等の取り寄せを請求し、未払残業代の具体的金額を算出して、Eさんの傷害慰謝料も併せて請求しました。
なお、相手方にも代理人弁護士がついたことから、具体的な金額交渉は代理人間で行いました。
解決結果
その結果、事件受任からわずか1か月程度で、相手方との間で傷害慰謝料150万円、未払残業代150万円の合計300万円を支払う旨の示談を成立させました。
なお、相手方が傷害慰謝料や未払残業代について金額面で大幅に譲歩したことから、Eさんへの謝罪、上記示談金の支払いを条件に相手方に対する被害届を取り下げることに同意しました。
弁護士のコメント
今回のケースのように、労働者が勤務先の上司から暴力を受けていることが明らかな場合には、処理方針として民事事件(損害賠償、未払残業代の請求)だけではなく、刑事事件(被害届の提出、刑事告訴)も含めて検討することで、交渉がスムーズに進むことがあります。刑事事件であれば、相手方は逮捕・勾留の身柄拘束リスクが発生しますし、仮に逮捕ということになれば、社会的信用を著しく失墜することになるからです。
また、今回のケースでは、被害者であるEさんは、勤務先の社長から常軌を逸した暴言・暴力を受けていたことから、精神状態が極めて不安定で誰にも相談できずにいたため、Eさんの妻がEさんの異常を察知できなければ、事件の発覚も遅れていたと思われます。
当然のことですが、仕事上のミスがあっても上司から暴言・暴力を受けるいわれはありませんので、このような被害に遭われている方がいらっしゃれば、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。
文責:弁護士 赤木 公